活動報告

2019年 バヌアツレポート part1

バヌアツ共和国基本情報

  • 日本とバヌアツ共和国の時差は+2時間
  • 西にオーストラリア、北にソロモン諸島、東にフィジー、南にニューカレドニアがある
  • 83の島があり、約60の島に人が住んでいる
  • 人口は約29万人(人口増加率は2.6%)
  • 面積は1万2,190平方キロメートル(新潟県とほぼ同じ大きさ)

2019年の支援活動の行き先は、南太平洋に浮かぶ83の島からなるバヌアツ共和国でした。日本には、あまり馴染みのない国かもしれませんが、のどかなリゾートアイランドです。
少し前に、地球温暖化の影響で水位が上がり、沈没の危機にあるというニュースになっていたので、それで知っている方も多いようです。
あとは、バンジージャンプ発祥の地でもあります。

私は、数年前にバヌアツのことを知ってから、行ってみたい国の一つでした。
今回は、ワクチンの予防接種の話はもちろんですが、バヌアツは本当にいいところなので、ぜひみなさんにも知っていただきたいので、現地情報もお伝えしますね。

バヌアツはオーストラリアやニュージーランド、ヨーロッパからの人気リゾート地となっていますが、実際には人口の77%は貧困状態だといわれており、国民の多くは豊かな大自然の中で、昔ながらの自給自足に近い生活を送っています。
細菌性髄膜炎(Hib)の発症が太平洋諸国で最も多いバヌアツでは、Hibワクチン接種の導入が急務でしたが、一部の富裕層の所得が高いためにGNI(国民総所得)を基準にする国際支援は受けられませんでした。
そこで「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)さんが要請を受け、2010年から支援を開始しました。

今回は私を含め6名の参加者のみなさんと、JCVさん3名の合計9名で行ってきました。

バヌアツには直行便はありませんので、日本からだとシドニー経由で行くのが一番行きやすいと思います。
それでも、シドニーまで約10時間、シドニーから、エファテ島にある首都ポートビラまで約3時間かかります。
羽田空港を夜に出て、起きるとシドニーにお昼前に着いて、バヌアツには15時過ぎに着くスケジュールでしたので、うまく飛行機で寝られれば、時差も少ないですし体は楽だと思います。


ポートビラのバウアフィールド空港です。
あいにくと雲が空を覆っていましたが、空の大きさや、南国っぽさが伝わりますでしょうか。
行ったのは9月で、南半球では冬ですが、バヌアツはそれでも昼間は25℃くらいで、朝晩は涼しく、昼間も湿気があまりなかったので、同時期の日本よりとても過ごしやすかったです。

初日は移動で終わり、いよいよ翌日から本格的に活動の始まりです。

ワクチンの予防接種は、現地政府、保健省の担当機関、ユニセフの連携によって行われています。
私たちが行った時、保健省の予防接種拡大計画課担当は、JICAから派遣されていたマサエさんという方でした。
支援活動中、ずっと同行してくださり、いろんなお話を聞くことができましたので、その情報も交えてお伝えします。

まずは、ユニセフ事務所に伺い、今回のスケジュールの説明を受けました。
ユニセフでは、バヌアツの現状や、面している問題などの話を聞くことができ、JCVさんを通しての支援がどれほど助かっているかということを聞くことができました。

予防接種率の国としての目標値は95%ですが、まだ達成には至っていないそうです。
(2018年のデータでは、ポリオワクチンの接種は約90%とのことでした。)
理由として最大のものは、地理的な問題です。
83の島々からなっていて、多くの島は飛行機で行くことができず、船でワクチンを運び、病院も全部の島にあるわけではありません。
昔ながらの部族として町から離れて暮らしている人も多く、車で行くことができません。
また、毎年サイクロンや地震などの自然災害にも見舞われやすく、その度に国全体が大きな被害を受けてしまいます。
そして、電力という問題も大きく、ワクチンによって冷凍・冷蔵保存が必要なのですが、安定した電力供給がされないため、支援によって提供されているソーラー冷蔵・冷凍庫がとても重宝されています。
JCVさんはコールドチェーンといわれる、冷蔵・冷凍設備の支援もされています。
ADB(アジア開発銀行)からの支援も2020年には終了するなど、大体の支援は数年だけのことが多いのですが、みなさんのご協力の賜物で、JCVさんを通して継続的に支援させていただくことができています。
継続的な支援があると、毎年の予防接種計画が立てやすくなり、接種率の向上に大きく影響します。

また、医療従事者の人材不足も深刻で、保健所の38%は看護師がいないため使用されていません。
バヌアツには医大がなく、看護学校の短大が1つあるだけで、隔年募集だそうです。
そのため、近隣のソロモン諸島から看護師さんを派遣してもらっているそうです。
お医者さんになるには、フィジーの大学に行くことが多いとのことでした。
地理的な問題の解決として、ドローンでワクチンを運ぶ実験がされているそうですが、ワクチンが運べても看護師さんがいなければ接種ができないので、大きな問題と言えますね。

その他には、啓発活動にも力を入れているとのことでした。
これは、ミャンマー、ラオス、ブータンにも共通していることですが、予防接種の必要性を親御さんに知ってもらわないと、接種率の向上は望めません。
文化的背景で、病院に行ったり、ワクチンを打つことへの抵抗がある人も少なくありません。
また、学校に行っていない子、出生届も出されていない子も少なくなく、そういった子どもたちを把握することも、政府と協力して頑張っているところだそうです。

さて、次に中央保冷庫に行きました。

バヌアツで接種されるワクチンは、まずここに届きます。
そして、ここから各保健所に必要な量が届けられます。
ここの管理をJICAから派遣されているマサエさんが担当していて、各地の保健所などからの要望を受け付けて、ワクチンを届ける管理をされています。
ワクチンによって、保管の温度が違うので、品質を保つよう、期限切れでムダにすることがないよう、保健所とコミュニケーションをとって管理されていました。

そして、こちらが、国立ビラ中央病院です。
(動画:ビラ中央病院外観)


ICUもある国内最大の病院ではあるのですが、日本の感覚でいうと設備と環境の違いにびっくりしてしまいます。
看護師さんが少ないので、患者さんの世話は基本的に家族が看ます。
そのため、ベッドの周りには家族がたくさんいて、入院の寂しさを感じることはなさそうです。
(動画:ビラ中央病院内部)

病院に洗濯物が干してあるのも、ならではという感じですね。

そして、産まれたばかりの赤ちゃんの予防接種を待つお母さんたちにも会えました。
家族がずっと付き添っているので、おばあちゃんが連れてきていたり、家族総出で幸せそうです。

なんと、こんな救急車がありました。
川崎市で働いていた救急車が海を越え、はるか遠くの島国で第2の人生を送っていました。

足場の悪いところも多いので、そういう場合には、こちらの救急車が活躍しています。

そして、こちらは、オーストラリアから派遣された看護師から研修を受けている、バヌアツ人の救急救命士。
オーストラリアはバヌアツへの支援が一番多い国でもあります。
彼も一生懸命学んでいるところだと言います。

2日目はこれで終了ですが、バヌアツの現状を聞き、国立病院を見学すると、なかなか大変な状況だなと感じましたが、それを何とかしようと、保健省のスタッフや、病院のスタッフ、そして支援に来ている人たちが、一生懸命に働いていらっしゃることが分かりました。

国立病院では、あまり予防接種が見れませんでしたが、3日目以降は、小さい保健所やアウトリーチという出張接種がありますので、たくさんの子どもたちに会えるのが楽しみです。

Part2に続く。

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