2017年 ラオスレポート
2017年 ラオスレポート
ラオス人民民主共和国について
- 日本とラオス人民民主共和国の時差は-2時間
- 中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーの国境に囲まれたインドシナ半島の内陸国
- 面積約24万平方キロメートル(日本の3分の2)の国土の8割が山岳地域を占める
- 人口約649万人(2015年、ラオス統計局)
- 49の少数民族からなる多民族国家
- 2017年ポリオフリー宣言
2017年ラオスレポート
2013年から2015年まで毎年訪れていたラオスですが、今回は2年ぶりの訪問となりました。
私個人としてはラオスに行くのは初めてでしたので、緑豊かな自然や、現地の方とのふれあい、全てが楽しみでした。
首都ビエンチャンに着くと、最初にJICA事務所、UNICEF事務所を訪問しました。
JICAでは、現在日本が行っている支援の内容を伺いました。
UNICEFでは、前回訪問した2015年には一人の男の子がポリオにかかって亡くなってしまった年でしたが、また2017年にポリオフリー宣言をすることができたと聞き、大変嬉しかったです。
ラオス政府としても、予防接種にかける予算を増やしているそうですが、まだまだ支援は必要な状況だそうです。
国家ワクチン接種チーム事務所では、ラオスならではのワクチン接種の問題をお聞きすることができました。
南北に長いラオスでは、地理的問題として季節ごとに条件が変わってくること、少数民族が多く点在して住んでいること、またワクチン接種への知識が無い為、受ける意味が分からない人が多いことが挙げられていました。
1982年から予防接種プラグラム始まっていたそうですが、まだ100%の接種に至らないことには、スタッフ不足やワクチンの保冷庫の不足などの問題もあるようです。
こちらに併設されている中央ワクチン保冷庫では、空輸されたワクチンが最初に運ばれ、品質チェックをしてから各県に2か月に一度送っているそうです。
UNICEFと連携して、温度管理、必要数の管理も徹底されていました。
今までは首都ビエンチャン以外は北部の村を訪問していましたが、今回は初めて南部に行くことができました。
ビエンチャンから飛行機に乗って1時間強でチャムパサック県のパクセ郡に向かいます。
着いてすぐに県の保健局を訪問しました。
こちらの県にある保冷庫4つのうち、3つは日本の支援により贈られたものだそうです。
南部での課題として、子どもの死亡率を下げる為にも、山間部の子どもにいかに届けるかということがあるそうです。
移動の多い民族がいる地域で、ワクチン接種のために、昼夜問わず子どもを探して接種することもあるそうです。
また、1日の収入が2ドル以下の貧困層も人口の10%程度で、赤ちゃんの栄養失調や低体重児出産も問題になっているそうです。
今では各郡に病院があるものの、予防接種への知識不足から、接種後の発熱を見て、病院に行くと具合が悪くなるから予防接種を受けるなと旦那さんに言われる為、その後行かなくなってしまうことも多いそうです。
その為、ちゃんと接種会場では、ワクチンを打つとどういう症状が出るかということを丁寧にお母さんたちに説明しているそうです。
この日は、パクセの中心部から車で40分ほどのノンギャン保健所にて、ワクチン接種が行われるということで、たくさんのお母さんと子どもたち、妊婦さんが集まっていました。
看護師さんから説明を受け、私たちも経口ポリオワクチンの接種をすることができました。
寝たままで、口に2滴ポタっと入って終わる子もいれば、不穏な空気を察したのか、大泣きする子もいて、「ちょっとだけ我慢してね、ごめんね…」と言いながら接種させていただきました。
近くに病院が無いような場所では、このように定期的にワクチン接種の日を設け、村に呼び掛けて集まってもらうようです。
次の日は、パクセから1時間半ほどかけてパクソン地区のコッドヤイ村に向かいました。
行程の半分くらいまでは舗装された道でしたが(舗装されている道でも、突如大きな穴が空いていたりしますが…)、その後はぬかるんだデコボコの道路を進んでいきました。
パクセはコーヒーの産地としても有名で、道中いたるところでコーヒー農園を見かけました。初めてコーヒーの木を見ましたが、ちょうど実が赤くなり始めたところでした。
村に着くと、すでに大勢の人が集まり歓迎していただき、その人の多さに驚きました。
この村で接種会場が設けられるのは初めてとのことで、村長さんと長老のみなさんも迎えてくださり、スピーチもしていただきました。
最寄りの病院まで30㎞くらいある為、なかなか病院に行くのは大変なようです。
多くの妊婦さん、小さなお子さんを連れたお母さんが集まっていて、ちょっとシャイではありましたが、だんだんとはじけるような笑顔を見せてくれました。
ワクチン接種がこの村で初めて開催されるということで、名産のコーヒーや、バーシーという伝統ある歓迎の儀式、地元の料理で歓迎していただきました。
言葉は通じなくても、笑顔でハグして、仲良くなれたような気がします。
こちらの村でも経口ポリオワクチンの接種をさせていただきました。
このような病院から離れた場所に行くアウトリーチサービスでも、ワクチンがしっかりと保冷されるようにコールドボックスに入れられて管理されています。
こちらの会場から歩いてすぐのところにある、コッドヤイ小学校にもお邪魔しました。
小学校に入る前の幼稚園クラスもあり、みんな床に座りながら一生懸命勉強していました。
短い時間でしたが、村の皆さんと触れ合い、楽しい時間を過ごさせてもらい、お別れの時は子どもたちが走って手を振ってくれ、名残惜しかったです。
パクソン地区病院とチャムパサック県病院にも訪問しましたが、それぞれ妊婦の検診の時からワクチンの接種をし、産まれた後にも赤ちゃんを連れてくるよう啓発しているそうです。
約1週間という限られた期間でしたが、多くの場所を訪問させていただき、径口ポリオワクチンの接種もさせていただくなど、貴重な体験もさせていただきました。
また、各所で「古着deワクチン」の取り組みについて話をする機会もありましたが、みなさん一様に、驚きと共に、大変感謝されていました。
というのも、寄付というとお金持ちの人が余ったお金を出しているイメージがあったようですが、「古着deワクチン」はそれぞれのお家で、何らかの理由により不要になった衣類等を送っていただくことで、ワクチンを寄付させていただいていると知り、何万人という方のご協力があり、それだけの方が関心を示してくださっていることに感動されていました。
そのような寄付を大事に使う為にも、より効果的に漏れなく接種できるよう手を尽くしていくとおっしゃっていました。
実際に現地で取り組みや今後の課題などの話を聞き、地理的な問題などを見てくると、まだまだ継続的な支援が必要であることも分かりましたし、子どもたち全員にワクチンを届け命を守りたい、という使命の下に一生懸命取り組んでいる様子も知ることができました。
みなさまのご協力によってお預かりした寄付によって、世界の子どもたちの命が守られている様子を見て知ることができ、今後もより多くの子どもたちを救うことができるよう取り組んでいきたいと思います。
ラオスのみなさまからの笑顔と共に、ご報告させていただきます。
日本リユースシステム株式会社
エコ得スッキリ・ライフサービス事業部
今野 優子