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2018年 ブータンレポート part1

2018年 ブータンレポート part1

ブータン王国について

ブータン王国 国旗

  • 日本とブータン王国の時差は-3時間
  • インドと中国の国境に囲まれた内陸国で、ネパールやバングラデシュも近い
  • 約38,394平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
  • 約79.7万人(2016年:世銀資料)
  • ヒマラヤ山系に属した自然豊かな国
  • 2014年ポリオフリー宣言

「幸せの国」というイメージのブータン、2011年に若い新婚の国王が日本に訪問され話題になりましたね。少し前まで秘境とも言われていた国だけあり、あまりブータンについて知らない方が多いのではないでしょうか。
今回の活動報告は、これまでの支援活動にも同じくずっと参加されていて、現在弊社と事業提携させていただいている、福祉作業所 天成舎の石原久子さんと共に振り返って、ご報告させていただきます。ご報告したいことがたくさんありましたので、全4回に分けてご報告いたします。

今野:天成舎さんとしてもブータンは初めての訪問だったようですが、どんなイメージでしたか?
石原:同じアジアと言っても、今まで支援活動で訪れたミャンマーとも違って、より素朴な感じがしましたね。飛行機の窓から最初に見えた段々畑など、昔の日本の田舎の風景を彷彿とさせました。あとから日本が農業支援をしていたと聞いて納得しました。
今野:確かに、「素朴」という言葉がしっくりきますね。どこか懐かしさを覚えました。私自身ブータンに行ってみたいという憧れはあったものの、あまり詳しいことは知らず、インターネットで検索しても他の国のように詳しい観光情報があるわけではなかったので、「幸せの国」というイメージしかなかったですね。
今野:さて、ブータンまでの道のりですが、羽田空港を夜中に出発し、タイのバンコクまで約6時間30分、その後乗り換えて、バンコクからブータンのパロ空港まで約3時間の旅でした。
ヒマラヤ山脈にあるブータンは標高差もかなりあります。
降り立ったパロ空港の標高は2,235m、それでも周りにはもっと高い山々が見えて、空の広さと空気の綺麗さに、着いた瞬間感激しました。

ブータン 飛行機からの景色

石原:とても小さな空港で、タラップを降りてすぐに目に入ったのは、大きな国王一家の写真でした。とても目立っていましたね。この後街中でもよく国王一家の写真を至るところで見かけましたが、愛されている国王なんだと感じましたね。
今野:パロ市内には車で20分程で到着しますが、こじんまりとした町で、メインストリートは100mくらいでした。小さな個人商店やレストランが立ち並び、中には外国人向けのカフェなどもありました。
ちょうど田植えの時期で、ホテルの横で、機械など使わず、女性が一列に並んで歌いながら田植えをしている風景が印象的でした。
石原:チベット仏教の国でもあり、お土産品は仏教関連のものと、あとは国王一家のものが多かったですね。ちょうど町の広場で僧侶の方がお祈りをされていたのか、地元の方が集まっているところも見ることができました。
今野:次の日は、隣のハ県まで車で2時間ほどかけて移動しました。インフラ面ではインド軍が協力して道路整備は進んでいるようですが、山道をクネクネと行き、断崖絶壁の細い道もあったりと、なかなかスリリングでしたね。
途中、車で行ける最高峰のチェレラ峠に寄りました。なんと3988mもあり、富士山よりも高いところに車で行けてしまうとは、驚きでした。
晴れていればヒマラヤ山脈が望めるそうです。
少し動くと心臓がバクバクしてしまいました。

石原:私は水泳をやっていたから心臓が強いのか、意外と大丈夫でした。風がかなり流れていたので、雲の動きも早く、少しだけヒマラヤ山脈が見えましたね。全体が見えたら圧巻でしょうね。
今野:ハ県というところは、2001年まで外国人が入ることができなかった場所で、今でも長閑な農村で、山々に囲まれた自然豊かな場所です。チベットとインドに接した場所でもあり、インド軍の駐留地もありました。
中心部のあたりで標高3000mほどあり、ちょっとした階段がこんなにもきつく感じるとは思いませんでした。
町を歩いていると、男の子たちが近づいてきてくれたのが嬉しくて、ついつい混ざって遊んでみました。やはりすぐに音を上げてしまいましたが…
こうやって現地の子どもたちと触れ合うことができるのも、この支援活動をしていて楽しみなことの一つです。こうやってみんなが元気に育っていく手助けができると良いなと感じます。
中心部といえども、集落がぽつぽつとある程度で、最近まで保健所のようなものしか無かったのですが、私たちが訪問する2週間前に県立病院ができたとのことで、伺うことができました。
そちらでは、産まれて数か月の赤ちゃんのワクチン接種も見せていただきました。
簡素な設備ながら、ワクチンの管理は徹底されて安心しました。

石原:確かに思っていた以上に、ワクチンの管理はしっかりしていましたね。カルテや母子手帳もきっちり記録されていました。
今野:こちらの県立病院で県全体の予防接種も管理されていて、病院や保健所が近くにないところへ出かけて行き接種する、アウトリーチというサービスも5か所含まれていました。必ず毎月回るようスケジュールが組まれていました。
このサービスのおかげで、山奥の集落に住んでいる子どもや、移動民族の子どもにもワクチンが接種されるようになっています。
各村にボランティアの方がいて、予防接種を受けているかチェックし、接種していなければ受けるよう勧めているそうです。
移動民族も多いことや、標高差の激しい山岳地帯ゆえに問題は多く、現在は90%の接種率のようですが、100%にするべく努力されていました。
アウトリーチサービスでは14時間歩いて、ワクチンを届けたこともあるそうです。
石原:確かに、車で走っていると、そびえたつ山の中腹にぽつんと家が一軒だけあったり、あの家にはどうやって行くんだろうという場所もあったので、そういうところに住んでいる子どもたちにもワクチンを届けるということは、とても大変なことですね。
今野:この後近くにあるカツォ中学校を訪問しました。
中学校と名前は付いていますが、実際には小学校から高校までが同じ敷地にはいっていました。行った時はちょうどお昼時でしたが、この辺りではお母さんたちが学校にランチを持ってきて一緒に食べたりするのも普通のようで、家族でピクニックのように食事している風景がとても和やかでした。
こちらの子どもたちはとっても元気で、あいさつするとみんな駆け寄ってきて、写真を撮ったりお話しできました。
ブータンでは英語教育も進んでおり、小学校の子どもたちとも英語でコミュニケーションをとることができます。インドやネパールも近いので、ヒンディー語やネパール語が話せる人も多いそうです。
こちらでは校長先生と、ヘルスコーディネーターという、必ず学校に一名任命される保健プログラム担当の先生からお話しを聞くことができました。
このヘルスコーディネーターの先生ですが、持ち回りで担当をするので、日本の保健室の先生のように特化しているわけではなく、通常の授業などもしながら担当しているそうです。
また、簡単な薬の処方をしたり、子どもたちのワクチン接種や健康診断の管理もしているとのことで、大変な業務ですね。
こちらの学校は日本の援助なども入っており、恵まれた施設がある学校とのことでした。
石原:感染症予防のために、水道設備も整っていて、学校の予算だけでは足りないので、お家からそれぞれ石鹸を持ち寄って、必ず石鹸を使って手洗いをするようになっていましたね。
子どもたちも最初は照れ屋さんで、遠くから見てても、すぐに笑顔で近づいてくれましたね。年齢も違う子たちがたくさん一緒にいて、ケンカもせずみんな仲良しで、ニコニコと遊んでいるのが素晴らしいと感じましたね。
少し前まで体育の先生がJICAから派遣されていたとも言っていましたね。
今野:そうですね。日本から来たと話したら、その先生の名前を挙げて、じゃぁ○○さん知ってる?と聞いてきたのがかわいかったです。
今野:その後、ハ県知事にもお会いすることができ、私たちの活動についても紹介させていただきました。
日本で何万人という方が、この「古着deワクチン」を支援してくださっていることを知ると、「一番大切なのはお金ではなく、このような人と人との繋がりですね」とおっしゃっていました。
また、「この支援への一番のお礼は、ブータンの子どもたちの笑顔です」とのことでした。子どもたちの笑顔は写真でたくさんご覧いただければと思います。
天成舎さんのお話をされたところ、とても興味深い表現を聞くことができました。
障がい者というと、英語では“disabled person“などと訳されますが、こちらでは”differently abled person“と言われていました。「できないこと」があるのではなく、「人とは違うようにできることがある」という表現が、とても素敵だと感じました。
天成舎さんは、長年ペットボトルキャップの回収をして、ポリオワクチンの寄付をされていますし、古着deワクチンの封入作業にもご協力いただいています。
そのように障がい者の方からもサポートを受けていることにも感謝されていましたね。

石原:やはり福祉に携わっていると、他の国での障がい者の扱われ方、生き方というのを知りたかったんです。こういう分野はなかなかニュースにもならないので、情報が入ってこないのが現実です。国によっては、お金がないと学校に行けなかったりして、障がい者の子どもが孤立してしまうこともありますが、ブータンでは教育が無料で受けられるようになっているので、こちらの学校でも、ダウン症の女の子がみんなと一緒にいて、差別されていない様子を見て安心しました。Part2へ続く…

 

特定非営利活動法人 燦
福祉作業所 天成舎
石原久子

日本リユースシステム株式会社
エコ得スッキリ・ライフサービス事業部
今野 優子

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