2015年 ラオスレポート
2015年 ラオスレポート
ラオス人民民主共和国について
- 日本とラオス人民民主共和国の時差は日本時刻-2時間
- 中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーの国境に囲まれたインドシナ半島の内陸国
- 面積約24万平方キロメートル(日本の3分の2)の国土の8割が山岳地域を占める
- 人口約649万人(2015年、ラオス統計局)
- 49の少数民族からなる多民族国家
- 2000年ポリオフリー宣言
2015年ラオス/レポート
今回私たちが訪れたとき、ラオスでポリオが発生していたため、現地の関係者は休むことなく働いているという現実を知らされました。2000年にポリオフリー宣言をしたラオスでしたが、15年後に発生してしまい、残念なことに1名が亡くなってしまったとのことでした。
視察に伺ったのはラオス北部4県の中心部になるウドムサイ県。首都ビエンチャンから飛行機で約50分。離陸前の機内から見た景色は、オレンジ色の屋根が多く、みどり豊かな光景でした。こちらのウドムサイ県には7つの郡があり、471の村落、5万3193世帯、30万3275人が住んでいます。ラオス国内で3番目に貧困ということで、とても支援を必要としている場所です。
統合アウトリーチサービスが実施されるベン郡パケオ村への車での道のりは、「ラオスのいろは坂」と命名したいくらいの急カーブが続き、所々デコボコ道ではありましたが1時間30分ほど経ってもまだ舗装された道が続いていました。山奥にも関わらず標識や看板があるのには本当に驚きました。目的地まで走行距離約65Kmあるなか、残りの数時間は舗装されていない、道とは言い難い道を土埃が舞うなか走りました。
パケオ村に到着して印象的だったことは、村の皆さんが心からの笑顔で迎えてくれたことでした。パケオ村と周辺の村人たちは何か月も前からこの訪問を楽しみにしていたとの事で、子どもたちが踊りを踊ってくれ、村人が伝統芸の披露や伝統歓迎の儀式(バーシ―)などをしてくださいました。また、この日のために遠くの村々から正装したお母さんが子どもを連れて集まってくださり、村人のほぼ全員が集まってくださったそうです。私たちは、村のおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、子どもたち、みんなで美味しい食事をいただきました。この村では3つの言葉が必要だそうで、言葉は通じないもののお互いにジェスチャーを使って、笑いながら楽しい時間を過ごすことができました。パケオ村で33年間も村長を務めている方にもお話を伺うことができ、支援をしてくださっている日本の皆さんへの感謝のお言葉を与りました。
パケオ村で実施されたアウトリーチサービスでは、経口ポリオワクチンを自分たちの手で接種させていただくことができました。この事により彼らの命を守ることができると思うと、とても感慨深い気持ちになりました。現在ポリオは発症すると治すことができません。唯一出来ることといったら、予防接種を受けて未然に防ぐしかないのです。子どもたちの健やかな健康のためには今後も寄り添った支援が必要ということを改めて感じましたし、この事についてもっと多くの方に知っていただきたいと思いました。
ウドムサイ県保健局のドクターカムラさんからは、「日本の皆さんの貢献や優しさに、どう恩返しをしたらよいのか…。ラオス政府だけでなく、国民みんなが日本の皆さんに感謝しています。」というお言葉を与りました。今回のような予防接種活動の成功のためには、ラオス政府だけでなく、村長から郡長までの協力が必要だともお話してくださいました。理由としては、車でアクセスできるところはいいが、それよりも山の方だとアクセスできる道路が無く歩いて何日かかるか分からない為。対象者に【予防接種をタダでやる】と伝えたくても、多民族のため言葉が通じないことや、通じたとしても「なぜタダなのか?」と不信がったり、怖がってしまう為。説明しきれないほどの困難があるとおっしゃっていました。ドクターカムラさんは2005年に、東京で1ケ月間、開発事業研修を経験され、その時に感じたこととして「ラオスが日本のようになるのは夢のようだと思うが、皆さんと協力してラオスの方々の健康を守っていきたい」と力強く伝えてくださいました。
ラオス保健省のアノンNIP(国家予防接種プログラム)マネージャーからは、「日本国民の皆さんに感謝しております。支援のおかげで、ラオスのお母さん、子どもたちが健康に過ごせています。子どもが健康だと親は充分に働けます。皆さまの親切は一生忘れることができません。」と、お言葉を与りました。また、予防接種に関してはラオス政府の予算を増やしているという嬉しい報告を聞く事ができました。全国で予防接種率を100%までカバーしたいと考えているそうですが、少数民族の問題やインフラ整備の問題、人材不足の問題があるため、まだ十分にできていないのが現状だそうです。地方の状況としては、ワクチンを運んで提供するためのバイクが不足していることや、ワクチン保管のための冷蔵庫が不足しているということでした。バイクは2014年に、ルアンナムター県とポンサーリー県へ10台支援させていただいておりましたが、まだ各地域に必要とのことでした。
今年は保健大臣との面会も叶いました。大臣がポリオ発生事案の対応に追われ、時間変更が何度もありましたが、大臣自らが謝意を述べたいとの事で、最終的に面会していただくことができました。大臣より支援への感謝と今後の支援継続の要請を受けました。
皆さまに代わり、現地の方々の話を聞き、実際に視察をすることで、ワクチン接種の効果を上げる為にはワクチンはもちろんの事、ワクチン周辺のことに関しても支援し続けることが重要になっていくことを実感いたしました。今回もワクチンが保管されている中央保冷庫を確認させていただきましたが、贈られてきたワクチンはしっかりと温度管理され保管してあり、必要とする人たちのもとへ届けられております。ワクチンが子どもたちに届くまでには、たくさんの人が関わっていること、ラオスの方々から日本の皆さまへの感謝の気持ちをお伝えできればと思い、一部にはなりますが今回お会いした方のお話を交えて、ご報告とさせていただきます。
「古着deワクチン」をご利用して下さった皆さまのおかげがあって、子どもたちの命は守られています。皆さまからお預かりした寄付が、世界の子どもたちの健康に繋がっています。「古着deワクチン」をご利用して下さった皆さま、携わってくださっているすべての方に心から感謝申し上げます。
日本リユースシステム株式会社
エコ得スッキリ・ライフサービス事業部 島根 千恵